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死後を託す人がいない不安

2022年6月06日2022年6月06日

【所沢市斎場】「おひとりさま」が直面する問題

さて、どんな人も一人で死を完結できないとはいえ、自立できなくなった後のことを託す人がだれもいない場合はどうなるのでしょうか。

昨今、ひとり暮らしの未婚者のことを「おひとりさま」と表現することがあります。
これは、エッセイストの岩下久美子さんが最初に提唱し、自分一人の時間や生活を楽しむことができ、「個」が確立した女性のことを指した言葉です。

これに対し、『おひとりさまの老後』(法研 2007)がベストセラーとなった社会学者の上野千鶴子さんは、
その著書の中で、夫と死別した女性も「おひとりさま」であると述べています。
ライフスタイルでとらえれば、「おひとりさま」とは、配偶者や子ども、婚姻経験の有無に関わらず、ひとり暮らしをする女性を指すことになります。
ちなみに上野さんは、ひとり暮らしの男性を「おひとりさま男」と呼んでいます。
元気なうちは、おひとりさまは自分の人生を楽しむことができても、配偶者がいない人やひとり暮らしをしている人は、
将来、介護が必要になったり、大災害に直面したりした場合、頼れる家族がそばにいない可能性があります。

【所沢市斎場】死の手続きや本人の意思を代行してくれる人がいなければならない

それでは、こうした人は、お葬式やお墓についてはどのような問題に直面しているのでしょうか。
超高級な有料老人ホームに入居しているおひとりさまの中には、
「もしものことがあったとき、火葬場で私の遺骨を拾ってくれるならば全財産をあなたの会社に寄付したい」などとおっしゃる人もいます。
はたから見れば、何不自由のない裕福な生活をしているように思えても、このような不安を抱える高齢者は少なくないという実態があります。
一人で死を完結できない以上、死の手続きや本人の意思を代行してくれる人がいなければならないのは、どんな人も同じです。

子どもがいても、頼れない、頼りたくないと考える人も増えていますが、生涯未婚の人や子どもがいない人にとっては、そもそも自分の死後を託する家族はいません。
お葬式の担い手になるべき人が身近にいないという問題に直面しているのです。
だれがお葬式を挙げるのかということだけでなく、故人の兄弟姉妹がすでに他界していれば、
親戚づきあいが減っている昨今、お葬式に参列する身内がほとんどいないという状況も生まれています。

【所沢市斎場】子どもがいても安心できない

子どもはいても、子どもと離れて暮らしているひとり暮らしの人にとっては、どこで死を迎え、どこでお葬式をするのかという問題があります。
参列者のことを考えれば、親が住んでいた地域でお葬式をするのがよいのでしょうが、子どもは近隣住民と面識がない場合が少なくないので、勝手がわかりません。
とはいえ、子どもの居住地でお葬式をするとなると、今度は、故人を知っている近隣住民はほとんどいないことになります。

また、生涯未婚者や子どものいない夫婦の場合、死後、お墓を継承する子どもがいないので、お墓が無縁化する可能性がきわめて高くなります。

子どもがいても、子どもや子孫が離れた地域にあるお墓をいつまできちんと維持していけるのか、
確証はありません「離れて暮らす子どもたちに墓守で負担をかけたくない」と考える高齢者も少なくありません。

こうして考えてみると、だれに死後を託すかは、配偶者がいない人やひとり暮らしの人だけの問題ではなく、
核家族化や少子化、地域のつながりの希薄化など、社会の変化に伴って、多くの人が共通して抱える問題であることがわかります。
これまでは、介護や看取りからお葬式、お墓、死後の手続きは家族や子孫が担ってきました。
しかしながら、わたしたちのライフスタイルや社会のありようが変化し、だれがおこなうのかという問題に多くの人が直面しているのです。

公正証書による生前契約で、こうした作業を家族に代わって執行するNPOがここ10年間でいくつも誕生していますが、
裏を返せば、死後を託す人がいないことへの不安を抱えている高齢者が、とても多いということでもあります。

【所沢市斎場】おひとりさま男について

平成22年の国勢調査によれば、75歳以上の男性の78.5%は妻がいるのに対し、夫がいる女性は32.8%しかいません。
75歳以上の女性の63.5%は、夫と離別か、死別した人です。
しかしこれからは、男性も長寿化し、妻と死別するリスクが高まるので、死別シングルの男性は増加します。
そのうえ、生涯未婚率の急増で、妻子がいないおひとりさま高齢男が出現することが予測されています。

現に、50代前半の男性で妻がいる人は75.1%で、4人に1人は未婚か、離別です。
平成2年の国勢調査では、50代前半の男性で妻がいる人は90.9%でしたので、20年間で有配偶者が15ポイントも減少しています。

同じく国勢調査によれば、50代前半の未婚男性のうち完全失業率は18.5%(完全失業者を労働力人口で割った数字で、
家事や通学などの非労働力人口は分母に含めず計算した)でしたが、妻がいる人では2.5%しかおらず、ひとり暮らしの男性は経済的に豊かではない人が少なくないことも想像できます。

また、男性は高齢になるほど、女性に比べて人と接する機会が少なくなり、社会的に孤立する傾向があるという指摘もされています。

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