トップ葬儀コラム【終末期編】臓器提供について

【終末期編】臓器提供について

2022年6月07日2022年6月07日

【所沢市斎場】脳死後か心停止後か

臓器提供とは、重い病気や事故などにより臓器の機能が低下し、
移植でしか治療できない人のために、死後に臓器を無償で提供することを言います。

臓器を提供するタイミングは、以下の2点です。

1.脳死後

2.心臓が停止した後

【所沢市斎場】家族が承諾すれば臓器提供が可能に

心停止後に提供できる臓器には、腎臓、すい臓、眼球があります。
臓器ではないですが、皮膚、血管、心臓弁、骨などの組織も提供できます。

臓器を提供する場合、最終的には家族の承諾が必要です。
2010年に改正臓器移植法が施工され、本人が生前に書面で臓器提供するという意思表示をしている場合に加え、
本人の意思が不明でも、家族の承諾があれば臓器提供できるようになりました。
つまり、本人が「臓器をあげたくない」と拒否していないかぎり、家族が承諾すれば臓器提供が可能になったのです。

腎臓は、心停止後に提供できる臓器のなかで、移植希望者がもっとも多い臓器です。
日本では、透析患者は年々増加しており、2011年には30万人を突破しています。
また腎臓の移植を希望し、日本臓器移植ネットワークに登録している人は1万2000人を超えています。
しかし、移植を待つ人の数に比べて腎臓提供者は少なく、
2010年には、生体腎移植が1276例、脳死や心停止後の腎臓提供による腎移植は209例しかおこなわれていません。

【所沢市斎場】臓器提供を望まないなら生前に意思表示を

臓器提供については、「提供したい」「提供したくない」「心停止後なら提供してもよい」という、
どの意思も保証されています。
一方、患者側の、「他人の臓器を移植されたい」という意思も、
「他人の臓器をもらいたくない」という意思も同様に保障されています。

内閣府が2008年に実施した世論調査では、心停止後に臓器を「提供したくない」とする人は25.4%、
一方の「提供したい」と考えている人も、4割程度にとどまっています。
「どちらともいえない」と、可否の判断がつきかねる人が多いのが実態です。

本人が生前に拒否していないかぎり、家族が承諾すれば脳死でも、心停止後でも、臓器提供できます。
臓器提供したくない場合には、あらかじめ家族にその意思を話しておくか、
運転免許証や健康保険証に記入しておく必要があります。
自分の希望があるのなら、「あげたい」よりも「あげたくない」という意思こそ、
明らかにしておかなければならないのです。

【所沢市斎場】脳死は人の死か?

日本では、1997年の臓器移植法成立を機に、死の定義にダブルスタンダードが生まれました。
脳死での臓器提供を前提とする場合には「脳死が死」、提供しない場合には「心臓停止が死」となったのです。

そもそも脳死とはどのような状態を指すのでしょうか。
脳は、心肺機能のコントロールや意識の伝達など、さまざまな指令を送る機能を有していますが、
脳疾患などで脳の機能が失われると、自発呼吸ができなくなります。
かつては即、心肺停止したのですが、医療技術が発達した結果、
人工呼吸器によって呼吸を確保すれば、心臓の機能を維持できるようになったのです。
この状態が脳死です。
ただし、脳の機能が残っている植物状態とは異なり、脳死になると、ほとんどの場合、数日以内に心臓が止まります。

もちろん、すべての人が心停止に至る過程で脳死になるわけではありません。
脳死の発生率の統計はありませんが、大人では1%未満、せいぜい年間数千人だとされています。
2010年の改正臓器移植法の施行によって、15歳未満の子どもから脳死での臓器提供が可能になりましたが、
子どもの脳死発生率は、大人の1%未満に比べると、それよりもまだかなり低いようです。

脳死で提供できる臓器には、心臓、肺、肝臓、小腸、腎臓、すい臓、眼球があります。
腎臓、すい臓、眼球は心停止後の提供でも可能ですが、心臓、肺、肝臓は心臓が動いている間でなければ提供できません。
脳死になっても患者の心臓は動いていますし、体温もあります。
そんな状態の人を死んでいると判定することには根強い世論の反対があります。
日本では、脳死臓器提供をしない場合には、脳死は死ではありませんが、ほとんどの国では一律、脳死は死と定義しています。

【所沢市斎場】増える脳死下臓器提供の一方で

2005年に、読売新聞社が国内の宗教団体にアンケートを実施した結果によれば、脳死は人の死と認めているのはカトリック中央協議会のみで、
ほとんどの宗教団体が、脳死を人の死とは認めていませんでした。

一方、現在の改正臓器移植法が改正される以前は、本人が書面で「提供したい」という意思を示しておく必要がありましたが、
2010年の改正で、本人が明確に拒否していないかぎり、家族の意思だけで提供できるようになると、脳死下での臓器提供はぐんと増加していきます。

2009年には7人でしたが、2012年には45人が脳死下で臓器を提供しています。
1997年の臓器移植法改正から2012年末までの脳死臓器提供は204人ですが、
2010年の法律改正までの12年間には86人しかいませんでした。
改正後わずか2年で、12年間の実績を大きく上回るスピードで、脳死下臓器提供が増加しているのです。
家族の意思で臓器提供を決断するケースが増えているのがその原因です。

臓器移植しか助かる方法がない患者のためには、臓器提供は好ましいですが、
特に脳死下で臓器提供する場合は、本人の意思が大前提だといえるでしょう。
「臓器を提供したくないとは言ってなかった=あげてもよい」ではありません。

【所沢市斎場】ワンポイントアドバイス

「心停止後の臓器提供」と「脳死下での臓器提供」についてよく話し合ってみましょう。
保険証や運転免許証の裏面の意思表示欄、コンビニや郵便局などで配布している意思表示カードなどで、
「提供したい」「提供したくない」どちらの意思も明記できます。

関連タグ