トップ葬儀コラム【終末期編】安楽死について

【終末期編】安楽死について

2022年6月07日2022年6月07日

【所沢市斎場】安楽死を3分類するとどうのような内容か

安楽死は尊厳死とは異なります。
1995年の横浜地方裁判所の判決(通称、東海大学安楽死事件判決※)では、安楽死を次の3つに分類しています。

1 消極的安楽死

苦痛を長引かせないため、延命医療を注視して死期を早めること。

2 間接的安楽死

苦痛の除去・緩和の措置をとるが、それが死を早めることになる。

3 積極的安楽死

苦痛から免れさせるため、意図的、積極的に死を招く措置を取ること。

そのうえで、延命医療の中止、苦痛の除去・緩和を目的とした治療行為は、
患者の意思が明確にあれば容認されるものの、生命を絶つことを目的としている積極的安楽死については、
次の4要件を満たす必要があるとされます。

【所沢市斎場】積極的安楽死の4つの条件

1.耐え難い肉体的苦痛がある。

2.患者の死が避けられず死期が迫っている。

3.患者の肉体的苦痛を除去・緩和するために方法を尽くし、他に代替手段がない。

4.患者本人が安楽死を望む意思を明らかにしている

【所沢市斎場】医療現場では、積極的安楽死を容認することには消極的

この判決は、積極的安楽死を条件つきで認めたことになりますが、
命を絶つことの是非、医師がそれを手助けするという医倫理の観点から、
医療現場では、積極的安楽死を容認することには消極的です。
人工呼吸器を取り外した場合、医師は殺人罪に問われる可能性もあります。
安楽死したいと願う患者は、「こんなに苦しいのなら、死んだほうがましだ」という状態にあると考えられますが、
医療者は、患者の苦痛を最大限に緩和する努力をし、患者に「死にたい」と思わせないことが先決です。

患者の苦痛緩和には、医療現場ではセデーションといって、眠らせることで苦痛を感じさせない方法が一般的です。
セデーションは間接的安楽死に該当しますが、安楽死を望む患者にとっては、
これもいたずらに命を長らえさせられている手段だと感じるかもしれません。
しかし、セデーションで眠っている間は、肉体的な苦痛がないので、
積極的安楽死ができる要件を満たしていないことになります。

【所沢市斎場】積極的安楽死をしたいと考える人は減っていく

朝日新聞社が2010年におこなった世論調査では、
「投薬などで『安楽死』が選べるとしたら、選びたいと思いますか」
という質問に対し、7割が「選びたい」と回答しています。
終末期に患者が感じる苦痛を緩和する医療が発達すれば、積極的安楽死をしたいと考える人は減っていくのかもしれません。

諸外国では、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカ(オレゴン州、ワシントン州)で安楽死が合法化されています。
とはいえ、日本と同様に、耐え難い苦痛があること、苦痛の緩和には安楽死以外に方法がないことなどの条件が付与されていますので、実際に安楽死をする人は少ないのが現状です。

関連タグ